《ペットというより家族のナナ》

最初は、ちょっとした変化で『病気なのか?』とか、
対応に困ったりもしたが、その度にインターネットで調べて、
猫を飼うことになれてきた。
ナナは最近、爪とぎのオモチャを気に入っているようで、
しぐさもずいぶんと猫らしくなってきた。
たまに、イスから落っこちたりして、
そのかわいいしぐさで皆を笑わせてくれた。
息子も長女も、昼間のナナの行動を聞くのが楽しいようで、
以前より夕食時の会話も増えてきたように思う。

そしてわたしは・・・

昼間、ナナと会話するようになってしまった。

というより、一方的にナナに話しかけて相談とかしている。
ほとんどが夕食のメニューについてなのだが。
こんな姿を息子や長女が見たら、きっと驚くだろうなぁ。
ある日、友人が旅行のお土産を持ってきてくれた。
リビングにいたナナは、いつもの爪とぎのオモチャで遊んでいて、
とてもお利口さんにしてくれていた。
友人がナナに近づくと、一瞬警戒するそぶりを見せたが、
抱かれるとおとなしく丸まっていた。
動物嫌いなわたしを知っている友人は、
最初とても驚いていたけれど、ナナを見て納得したようだった。
夕方になり、友人を玄関まで送り出したが、靴を履いて、
玄関ドアから出ようとした状態で、また話しだした。
わたしも、友人の話しに聞き入っていた時、
足元を何かがかすめたのだ。
ナナが、玄関ドアの隙間から、初めての脱走!!!
わたしは友人そっちのけで、通りまで飛び出した。
ナナがどこかへいってしまう?
通りを出てすぐにナナを発見。
2軒隣りの家の壁に向かって、毛を逆立てていた。
初めて、ナナの野生らしいしぐさを見たなぁと、一瞬感動・・・
ナナの視線の先を見ると、近所のゴミをよく漁っているノラ猫だった。
ナナがやられてしまう!!!
わたしはあわてて走り出した。
と、同時に、ノラ猫の威嚇するしぐさと突然のダミ声に、
いち早く身を翻し、自宅まで駆けていった。
あまりの素早さに、付いていけず、今度はあわてて自宅へ。
玄関ドアを開けたまま立ち尽くしていた友人が驚いた顔をしていた。
自分のせいで逃げたと思った猫が、猛スピードで戻ってきて、
家の中に駆けて行ったのだから。
わたしと友人は、あわててまた家に入りリビングへ。
するとナナは、何事もなかったかのようにソファでくつろいでいた。
もしかして、恥ずかしかったのかな?
わたしと友人は笑い出してしまった。
その日の夕食時、わたしは息子と長女を同じように笑わせようと、
その時の状況をジェスチャーしながら説明した。 一緒に笑ってくれると思っていたのに、わたしは怒られてしまった。
これからはナナが危ない目にあわないように注意するように、と。
ごもっとも。
でも、あの時のナナの姿を見たら、きっとあんたたちも微笑んでいたに違いないよ。