《ペットを飼う決心をしました》

あまりに小さくて、ふわふわした毛並みを見ると、
一度触ってみたいと思い、思わず子猫に手を伸ばす。
そんな自分に驚いて、手を止めたが、子猫がわたしを見ていて、
その目が何かを訴えているように感じ、もう一度手を伸ばす。
たぶん、初めて猫を触った瞬間だ。

あったかい。

それから、本当にかわいい。
わたしは、こんなかわいい動物を嫌っていたんだなぁ。
子猫をなでてみると、気持ちよさそうに首をすぼめる。
あまりのかわいいしぐさに、キュンとなってしまった。
子猫を廊下に下ろしてみると、わたしの足元に擦り寄ってきた。
かわいらしくてまた抱き上げる。
そんなことをして、子猫の感触を楽しんでいると、ふと感じる視線。
息子が、ぽかんとした表情で玄関に立ち尽くしていた。
動物嫌いと思っていた母親が、突然子猫とたわむれだしたのだから、
さぞかし驚いたのだろう。
と、考えると同時に恥ずかしくなった。
思わず、
「一週間だけ預かってあげてもいいから、早く飼い主を探してね!!」
と、息子の手に子猫を返した。
わたしは急いで物置に向かい、大きなダンボールと
使っていないタオルケットをひっぱりだした。
リビングのソファで、子猫を抱っこしてテレビを見ている息子に、
黙ってダンボールとタオルケットを渡して、急いでお風呂場へ向かう。
子猫を見て、表情が緩む自分の姿をあまり見られたくなかったから。
もう何人か身近な人には聞いているだろうし、
たぶん一週間では飼い主を見つけることはできないだろう。
わたしは、湯船につかりながら、あの子猫を飼う方法を
一生懸命考えてしまっていた。