《手放せないペット》

部活を終え、暗くなってから帰宅した息子は、とても驚いていた。
朝、家を出たときと様変わりしたリビングに立ちつくしている。
そういえば、息子に何の相談もせずに買い物をしてしまった。
しかも、一週間だけ、と言いながら・・・
「えーと・・・」
なかなか言葉が出てこない。
すると息子が、
「猫、飼ってもいいの?」
説明も面倒だったので、
「うん。」
面倒な話しはせずに、買ってきたものを息子に説明する。
「ちゃんと自分で面倒みてね。」
わかった、と返事をした息子だったけれど、
口元に笑みがもれていたのが少々気になるけれど。
もしかして、見透かされてる?
って、当たり前か・・・
猫缶まで買ってきちゃったし。
リビングでテレビを見ている間、息子はずっと子猫を抱いていた。
昼間、あれだけ遊んであげたのに、子猫は息子のほうが好きらしい。
彼女の家にいる間も、息子と遊んでいたのかな?
それから、長女も交えて子猫の名前を決めようということに。
夕食を食べながら、考え付く名前を挙げては否定したり、
笑ったりで、とても楽しい夕食となった。
これだけ、心から楽しんだ会話は久しぶりだ。
単身赴任の夫が、ほんのちょっぴりかわいそうになった。
わたしは、子猫がメスだったので、『姫』と名づけたかった。
長女は、『チャコ』。
どれもいまいちだと、息子は納得しない。
そこで息子から提案があった。
子猫が我が家に来た日が7日だったので、『ナナ』にしないか、と。

ナナちゃん。

かわいいし、なんだかぴったりな気がして、
長女もわたしも賛成した。
それから、パパに報告。
『飼いたい』という相談ではなく、
もう『飼っている』という報告にびっくりした感じだったけれど、
年末にはナナちゃんに会いに帰るよ、と賛成してくれた。
ナナが、家族みんなに受け入れられ、
家族の一員となったことに、わたしはとてもうれしかった。